シビル・ウォー アメリカ最後の日(アメリカ:2023)

<導入・あらすじ>
連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。
「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている―」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。
ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。
だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー

<キャスト>
キルスティン・ダンスト
ケイリー・スピーニー
ワグネル・モウラ
スティーヴン・ヘンダーソン
ニック・オファーマン
ジェシー・プレモンス
ソノヤ・ミズノ
カール・グルスマンほか

<監督・脚本>
アレックス・ガーランド

公式サイトより

<感想>
「ミッドサマー」など癖のある話題作を世に送り出すことで知られるA24スタジオが製作した、近未来アメリカがもし内戦に陥ったら…という挑戦的な作品。
本国でかなり話題になり、英語版の予告編しかない頃から本邦公開を期待していたので、公開初週に鑑賞。
地元映画館では10人に満たない客入りだったが地方都市だからかな…

twitter(現X)上ではソウルの春を見に行ったオタク達がこちらも観に行っており、みんな観に行っている錯覚に陥ったんですよね。

作中、おそらくは意図的に、内戦に陥った原因は描写されず、最初から西部勢力(カリフォルニア&テキサス連合軍)が掌握しつつあるニューヨークでスタートする。
停電に苦しみながら記事をアップロードする主人公の描写があり、スターリンク的なものが普及すると、電力は不安定だけどネットは繋がる世界になるんだろうか…と思った。

そして14か月姿を見せない大統領の直撃取材にワシントンD.Cへ車で向かう主人公たち。
アセラエクスプレスなら3時間程度だが、そんなものはもちろんもはや存在しないらしく、ミリシアが牛耳るガソリンスタンドや激しいキャッスルドクトリンで自活する街を通り、前線のあるシャーロットビル(バージニア州)を目指す。

アメリカの地理に詳しくなかったけど、西に行って南下して回り込んでたんですね…なんという遠回り

統治の効かないエリアを巡るロードムービー、日経初めいろいろな人が「地獄の黙示録」になぞらえており頷ける面もある。

1年以上戦争してる割に道路が綺麗だとか、アラスカは唯我独尊貫いてるらしいがハワイは言及されないなど、細かく見れば気になったり粗もあるけど、没入感はとてもすごい。
銃撃音もリアル寄りで、IMAXで観ても良かったかもしれない。

ケイリー・スピーニー演じる新人カメラマンジェシーが、死にかけの人や死体や銃撃に晒されてアドレナリンにより凄まじい成長を見せていく。左手薬指に指輪が光った気がするけど家族の言及はミズーリの実家パパくらいなんすよね。。
ムチムチしてていいっすね〜と明後日の方向の感想すら覚えるけど、極端な白人至上出生地主義者(塩もみしたマッド・デイモンことジェシー・プレモンスが演じる)に殺されかけてた時にブラジャーの線がくっきり見えて(この崩壊しかけた世界でワイヤー入りブラをきっちり装着できるのか…?そこはスポブラの方が便利では??)と思った。

終盤はあっけなく連邦政府が西部連合の軍門に下り、一部の連邦政府職員と交戦しながらホワイトハウスに入っていくが、肝心のインタビューは実現されず、大統領が3期目独裁に入った理由も明かされないまま、アメリカが終わっていった。

原因も理由もうっすら推測することしかできないので、面白いが消化不良感もある作品であった。
主人公がANTIFAの虐殺を取材して名を挙げた、ってあったけど字幕なのでANTIFAが虐殺されたのかANTIFAがやらかしたのかわからんかったぞ…
まあそういうのの積み重ねで戦争するレベルまで分断してしまったのだろうが…

銃規制が緩すぎるのが原因のかなりの割合を占めている気がしないでもない。。

なお感想執筆後にパンフを読んだら監督が「(原因は)ちゃんと明確に描いてるんですけど!『3期目』のファシスト大統領に2大州が反旗を翻したんですけど!(キレ)」って書いてて正直すまんかった…ってなったわね。

おわり

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